法人向けガイド

外国籍社員の定着と日本語

外国籍社員の早期離職には複数の要因があり、日本語力はそのひとつです。ただし日本語力は、単独で離職を引き起こすというより、他の要因を悪化させる形で効きます。指示が正確に伝わらないことが評価への不信につながり、雑談に入れないことが孤立につながる。研修が有効なのはこの連鎖の初期であり、すでに関係が壊れている段階では、研修より先に職場側の運用を変えるべき場合があります。

このページは、研修を売るためのページではありません。研修が効く場面と効かない場面を切り分けるためのページです。切り分けを間違えたまま研修を入れると、費用をかけて何も変わらない、という結果になります。

日本語力が定着に効く経路

人事の方から届く相談を整理すると、日本語力は次のような経路で定着に影響しています。いずれも「日本語ができない」という形では現れません。

1

評価への不信に変わる

指示の意図が正確に伝わっていないまま業務が進み、結果が期待とずれる。本人からは「ちゃんとやったのに評価されない」と見え、上司からは「指示が通らない」と見える。どちらも相手の姿勢の問題として解釈されがちですが、起点は言語です。

2

業務の範囲が広がらない

社外とのメールや電話を任せられないため、担当できる業務が限定される。本人にとっては成長機会の不足として体験され、これは転職理由の上位に来ます。

3

非公式な情報から外れる

雑談、立ち話、飲み会。日本の職場では業務情報の一部がここを流れます。入れないことは、単に寂しいという以上に、情報格差として効きます。

4

相談ができなくなる

困ったことを日本語で説明する負荷が高いと、相談そのものを避けるようになります。問題が表面化したときには手遅れ、という形になりやすい。

研修で解けること、解けないこと

ここが実務上いちばん重要な切り分けです。研修は万能ではなく、原因が職場側にある課題を研修で解こうとすると失敗します。

症状主な原因打ち手
メールの敬語で時間がかかる言語研修が有効。定型パターンの習得で比較的早く改善します。
会議で発言できない言語+場の設計研修に加えて、発言を求めるタイミングを明示するなど場の側の調整が要ります。
報連相が来ない運用+水準「何を・いつ・誰に」の明文化が先ですが、それだけでは足りない場合があります。文化庁の記述では報告はB2、連絡と相談はB1相当で、A2の社員には構造的に届きません。報連相が通じないときで切り分けています。
指示が伝わらない双方本人の聴解訓練と、指示側の「やさしい日本語」の両方。片側だけでは戻ります。
評価に納得していない制度・説明研修では解けません。評価基準の説明を、本人が理解できる言語で行うことが先です。
すでに転職活動をしている複合この段階での研修導入は、ほぼ効きません。個別の面談が先です。

下の3行に該当する場合、私たちは研修をお勧めしないことがあります。人材紹介事業者として、採用と定着の両方を見ている立場から言えば、合わない研修を導入するより、何もしないほうがましな場面は実際にあります。見分け方は 研修より先に職場を変えるべき場合 にまとめています。

導入するなら、いつが有効か

  1. 入社前から入社直後

    最も効きます。業務が始まる前に、その職場で頻出する語彙と場面を先に入れられるためです。この時期に企業側が何をすべきかは指針に列挙されており、義務と努力義務の切り分けを 外国籍社員の入社90日 で整理しています。

  2. 担当業務が変わるとき

    顧客対応や後輩指導など、必要な日本語の種類が変わるタイミング。目的が明確なので設計しやすい。

  3. 本人が必要性を感じているとき

    本人の動機は成果を大きく左右します。会社が一方的に受けさせる形は、続きません。

逆に、離職の意向がすでに固まっている段階、あるいは職場側の運用に原因がある段階では、研修の導入は延期を含めてご相談ください。

よくあるご質問

日本語力が上がれば定着しますか。

日本語力は定着に影響する要因のひとつですが、単独の要因ではありません。評価、待遇、上司との関係、キャリアの見通しなど他の要因が大きい場合、日本語研修だけでは定着は改善しません。

どのくらいの期間で効果が出ますか。

目的によって大きく異なります。定型のビジネスメールのように、パターン習得で比較的短期に改善するものもあれば、会議での即応的な発言のように時間がかかるものもあります。ご相談時に、目的に対して現実的な期間をお伝えします。

本人が乗り気でない場合はどうすればよいですか。

まず、本人が何を必要と感じているかを聞くところからをお勧めします。会社が必要と考える日本語と、本人が困っている日本語がずれていることがあります。

研修が有効かどうかから、ご相談ください

対象社員の状況をお伺いしたうえで、研修が適切な手段かどうかを含めてお答えします。導入をお勧めしないことがあります。

無料相談・お見積り

個人で受講をご希望の方は こちら からご連絡ください。