日本語の試験
JLPTとJFT-Basic — どちらを、いつ受けるか
二つの試験は、測る範囲も、結果の出方も違います。在留資格「特定技能1号」の日本語要件として示すなら、出入国在留管理庁の運用要領は国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)と日本語能力試験(N4以上)を挙げています。JFT-Basicは原則毎月のCBTで判定結果がすぐ出ます。JLPTは年2回で、2026年は7月5日と12月6日です。そしてJLPTが測っているのは言語知識・読解・聴解で、話す・書くは含まれません。
執筆:United World Nihongo 編集部|公開日:2026年9月5日|出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和7年4月)、日本語能力試験公式ウェブサイト(国際交流基金・日本国際教育支援協会)、国際交流基金日本語基礎テスト公式ウェブサイト|確認日:2026年9月5日
二つの試験の違い
| JLPT(日本語能力試験) | JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト) | |
|---|---|---|
| 運営 | 国際交流基金と日本国際教育支援協会 | 国際交流基金 |
| 実施 | 年2回(7月・12月)。海外には7月だけ、12月だけの都市もある | 原則、毎月 |
| 形式 | マークシート | CBT(コンピューター) |
| 結果 | 後日 | 判定結果がすぐわかる |
| 示し方 | N1〜N5の合否。2025年12月試験からCEFRレベルの参考表示が付く | 総合得点(10〜250点)とA1/A2.1/A2.2(A2)の判定 |
| 測る範囲 | 言語知識・読解・聴解 | 文字と語彙・会話と表現・聴解・読解 |
表の最後の行が、この記事でいちばん申し上げたいところです。どちらの試験も、あなたが日本語で話せるかを直接は測っていません。JLPTについては公式サイトが明示していて、測定範囲は言語知識・読解・聴解であり、産出活動(話す・書く)・やりとり等の能力は含まれていない、と書かれています。
在留資格のために受けるなら
「特定技能1号」で働くための日本語要件として受けるのであれば、出入国在留管理庁の運用要領(令和7年4月)が示す日本語試験は、国際交流基金日本語基礎テストと、日本語能力試験のN4以上です。
ただし、ここには読み落とされやすい条件が二つあります。
1. 決めているのは分野ごとの所管省庁です
運用要領は、1号特定技能外国人には「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準が求められます」とし、その水準は「分野所管行政機関が定める試験等により確認することとされています」と書いています。そして「分野ごとの試験等の詳細については、本要領別冊(分野別)を参照してください」とあります。
つまり、介護と建設と外食で同じとは限りません。自分の分野の別冊を見るのが、確実な確認の仕方です。
2. 合格は在留資格を保証しません
運用要領は、はっきりこう書いています。
試験に合格したとしても、そのことをもって「特定技能」の在留資格が付与されることを保証したものではなく、また、在留資格認定証明書の交付を受けたとしても査証申請については、別途外務省による審査が行われるところ、必ずしも査証の発給を受けられるものではありません。
出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」令和7年4月(確認日:2026年9月5日)
試験は必要な条件のひとつであって、それだけで決まるものではない、ということです。
技能実習2号を修了している場合
技能実習2号を良好に修了した人には、試験によらない道があります。運用要領は「技能実習2号を良好に修了している」を、技能実習を2年10か月以上修了し、第2号技能実習計画の目標である技能検定3級もしくはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していること、または合格していなくても実習実施者が作成した評価に関する書面により良好に修了したと認められること、と定義しています。自分が当てはまるかどうかは、実習実施者と受入れ機関に確認してください。
JFT-Basicの読み方 — 2026年8月に変わりました
JFT-Basicは、主として就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定するテストです。「文字と語彙」「会話と表現」「聴解」「読解」の4区分、各約12問を、60分のCBTで受けます。
結果は総合得点10〜250点と、次の判定で示されます。
| 総合得点 | 判定 |
|---|---|
| 200〜250点 | A2.2(A2) |
| 175〜199点 | A2.1 |
| 145〜174点 | A1 |
| 145点未満 | 判定なし(「*」と表示) |
このうちA1とA2.1の判定は、2026年8月から始まったものです。それ以前は、200点に届かなければ判定が出ませんでした。育成就労制度(運用開始予定は2027年4月)に対応するための変更で、テストの形式・構成・問題のレベルは変わっていないと公式に説明されています。
受ける側にとっての意味は、はっきりしています。200点に届かなくても、145点以上あれば到達したレベルが記録として残るようになりました。以前は「*」だった範囲が、二つに分かれたということです。
JLPTの読み方 — 合格点だけを見ていると足りません
JLPTに合格するには、二つの条件を同時に満たす必要があります。総合得点が合格点以上であること。そして各得点区分の得点が、区分ごとの基準点以上であること。
| レベル | 合格点(総合得点) | 得点区分と基準点 |
|---|---|---|
| N1 | 100点 | 言語知識19点・読解19点・聴解19点 |
| N2 | 90点 | 言語知識19点・読解19点・聴解19点 |
| N3 | 95点 | 言語知識19点・読解19点・聴解19点 |
| N4 | 90点 | 言語知識・読解38点/聴解19点 |
| N5 | 80点 | 言語知識・読解38点/聴解19点 |
この表を上から読むと、おかしなところに気づきます。N3の合格点95点は、N2の90点より高いのです。理由と、そこから何を変えるべきかは JLPTは総合点が足りていても落ちます に分けて書きました。
二つの試験をつなぐ、ひとつの公式な物差し
JLPTの点数とJFT-Basicの点数を換算する公式な表は、確認した範囲では見当たりません。ただし2025年第2回(12月)試験から、JLPTの成績書類にCEFRレベルの参考表示が付くようになりました。JFT-BasicもCEFRのA1・A2で判定を出すので、共通の枠に並べて見ることはできます。
| JLPTのレベルと総合得点 | 参考表示されるCEFRレベル |
|---|---|
| N5:80点以上 | A1 |
| N4:90点以上 | A2 |
| N3:95〜103点 | A2 |
| N3:104点以上 | B1 |
| N2:90〜111点 | B1 |
| N2:112点以上 | B2 |
| N1:100〜141点 | B2 |
| N1:142点以上 | C1 |
この表は「合格」の一語よりも多くを語ります。同じN2合格でも、90点と112点では参考表示されるレベルが変わります。同じN3合格でも、95点と104点では変わります。就職や進学の場面で「N2を持っています」とだけ伝えるのと、成績書類そのものを示すのとでは、伝わる情報量が違うということです。
なお、いずれかの得点区分が基準点に達していない場合は、総合得点が合格点以上であっても不合格となり、CEFRレベルは表示されず「*」が表示されます。JFT-Basicが145点未満に付けるのと同じ記号です。
この記事が答えていないこと
推測で埋めると、それを前提に計画を立てた人が困ります。次の点は、この記事では扱っていません。
- JLPTとJFT-Basicの点数の換算 — 両者を直接対応させる公式な表は、確認した範囲では見当たりません。上のCEFR参考表示は、それぞれが同じ枠を参照しているという意味であって、換算表ではありません。
- 受験料・会場・申込期間 — 変わりますので、それぞれの公式サイトの申込ページでご確認ください。
- 合格までにかかる期間 — 現在地と学習に使える時間で変わります。当社として公表できる実績値はありません。
- 自分の分野で必要な水準 — 分野別の別冊が決めています。受入れ機関か、登録支援機関にご確認ください。
よくあるご質問
どちらを先に受けるとよいですか。
目的で決まります。在留資格の要件として早く証明したいのであれば、JFT-Basicは原則毎月実施で判定結果がすぐわかるため、次の機会までの待ち時間が短くなります。JLPTは年2回で、2026年の第2回は12月6日です。一方、進学や就職で広く通用する形の証明が要る場合はJLPTの成績書類が使われることが多く、こちらは日程から逆算する必要があります。
N2に合格すれば、日本語で仕事ができるということですか。
そうとは限りません。日本語能力試験の公式サイトは、測定範囲が言語知識・読解・聴解であり、産出活動(話す・書く)・やりとり等の能力は含まれていないと明記しています。つまりN2の合格は、読む力と聞く力についての証明であって、会議で意見を述べたりメールを書いたりする力を直接測ったものではありません。職場で困っているのが話す場面であれば、試験対策とは別の練習が要ります。
総合得点が合格点を超えていたのに不合格でした。なぜですか。
得点区分ごとに基準点が設けられているためです。合格には、総合得点が合格点以上であることと、各得点区分の得点が基準点以上であることの両方が必要で、ひとつでも基準点に達していない区分があると、総合得点が足りていても不合格になります。この場合、成績書類のCEFRレベルは表示されず「*」が表示されます。どの区分で届かなかったかは成績書類に出るので、次の準備はそこから決められます。
JFT-Basicで200点に届きませんでした。記録は残りますか。
2026年8月からの判定では、145点以上であればA1またはA2.1として記録されます。145〜174点がA1、175〜199点がA2.1、200〜250点がA2.2(A2)です。145点未満の場合は判定が表示されず「*」となります。それ以前は200点に届かなければ判定が出ませんでしたので、いま受けるなら到達点が残る形になっている、ということです。
試験に合格すれば在留資格はもらえますか。
いいえ。出入国在留管理庁の運用要領は、試験に合格したとしてもそのことをもって「特定技能」の在留資格が付与されることを保証したものではなく、在留資格認定証明書の交付を受けても査証申請については別途外務省による審査が行われる、と明記しています。試験は必要な条件のひとつです。手続き全体については、受入れ機関や登録支援機関、地方出入国在留管理局にご確認ください。