助成金ガイド

東京都の助成金で外国人従業員の日本語研修費用を抑える

東京都は、都内の中小企業が外国人従業員に対して行う日本語教育等の費用を助成する「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」を実施しています。令和8年度の一般コースは経費の2分の1、標準プランで最大250,000円。申請期間は令和8年4月9日から令和9年1月14日まで、助成対象期間は交付決定日から令和9年3月31日までです。上限額だけを見て「25万円もらえる」と理解すると資金計画がずれるため、助成率が2分の1である点と、対象となる日本語教育に講師の要件が定められている点を先に押さえてください。

執筆:United World 編集部(ユナイテッドワールド株式会社)/公開 2026年8月31日・最終更新 2026年9月1日
本記事の数値・期間はすべて東京都の一次情報に基づきます。出典:TOKYOはたらくネット「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」(確認日 2026年8月31日)。制度は年度ごとに変わります。申請前に必ず出典先の募集要項をご確認ください。

令和8年度 一般コースの要件

対象企業都内中小企業等
対象となる従業員助成事業実施期間中に継続して直接雇用されている従業員で、入管法別表第1の2および別表第1の5に定める就労可能な在留資格を有し、常時勤務する事業所の所在地が都内にある者
対象外特定の高度専門職、特定活動(告示第5号等)に該当する者
助成率助成対象事業の経費の2分の1
上限額標準プラン 250,000円/短時間プラン 150,000円
対象となる研修日本語教員による日本語教育/日本語教材の作成(日本語教員が作成したものに限る)/ビジネスマナー講座/異文化理解に係る講座
対象経費報償費、消耗品費、旅費、印刷製本費、委託料、使用料及び賃借料
助成対象期間交付決定の日から令和9年3月31日まで
申請期間令和8年4月9日から令和9年1月14日まで
申請方法郵送または電子申請(Jグランツ)

ウクライナ避難民を対象とした別コースがあり、標準プラン500,000円/短期プラン300,000円と上限額が異なります。該当する場合はそちらをご確認ください。

見落とされやすい3点

申請を検討する企業からよく出る誤解と、実務上つまずきやすい箇所です。

1. 助成率は2分の1。上限額と混同しない

標準プランで250,000円の助成を受けるには、助成対象となる経費が500,000円必要です。「上限25万円」という表記だけを見て、25万円の研修が無料になると理解すると、予算の立て方がずれます。研修の規模を決める段階で、自社が実際に支出する額の半分が戻る制度である、と捉えるのが正確です。

2. 対象となる日本語教育には講師の要件がある

東京都の案内では、日本語教員について「出入国在留管理庁『日本語教育機関の告示基準』第1条第13項に記載の『教員』の要件を満たす必要」があるとされています。つまり、日本語が母語であることや教えた経験があることだけでは足りません。

これは研修会社の選定に直結します。見積りを取る段階で、その会社の講師がこの要件を満たすかどうかを確認してください。研修を実施したあとで対象外と判明すると、費用の回収ができません。確認を断られる、あるいは曖昧な回答しか返ってこない場合は、それ自体が判断材料になります。

3. 助成対象期間は交付決定の日から

交付決定より前に実施した研修は対象になりません。「先に研修を始めて、あとから申請する」という順序は成立しないということです。申請期間は令和9年1月14日まで、助成対象期間は令和9年3月31日までなので、申請から交付決定までの審査期間と、研修を実施する期間の両方が年度内に収まるように逆算する必要があります。年度後半に検討を始める場合は、実施できる回数が制約されます。

申請までの流れ

  1. 募集要項を読む

    対象・要件・提出書類は募集要項が正です。本記事を含め、要約は補助として使ってください。

  2. 研修会社を選び、要件を確認する

    講師の要件、オンライン実施の可否、受講記録の発行可否の3点を、見積りの段階で確認します。

  3. 交付申請

    郵送または電子申請(Jグランツ)。研修の内容と経費の見積りが必要になります。

  4. 交付決定を待つ

    ここより前に実施した研修は対象外です。

  5. 研修を実施し、記録を残す

    受講日・受講時間・受講者が確認できる記録と、支払いを証する書類を保管します。

  6. 実績報告と支給申請

    助成対象期間内(令和9年3月31日まで)に完了させる必要があります。

申請そのものは事業主が行うものです。手続きの代行は社会保険労務士など資格を持つ者の業務であり、研修会社が代行することはできません。研修会社に依頼できるのは、カリキュラムや受講記録など、申請に添付する書類の提供までです。

国の制度との違い

外国人従業員の日本語教育に使える助成制度は東京都のものだけではありません。厚生労働省の人材開発支援助成金は、職務に関連した訓練を実施した事業主に対して訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する国の制度で、外国人従業員への日本語教育をこの枠組みの訓練として申請する形が一般的とされています。

大きな違いは3つあります。東京都の制度は所在地が都内であることが前提ですが、国の制度に地域の限定はありません。一方で国の制度は訓練計画の事前提出が必要で、要件と助成率の改正が頻繁です。また、複数の制度を同一の経費に重ねて使うことは通常認められません。どちらを使うかは、研修の規模と実施時期から決まります。

制度の全体像は 日本語研修に使える助成金 に整理しています。自治体独自の補助制度もあり、都道府県だけでなく市区町村単位で設けられている場合があります。

よくあるご質問

オンラインの日本語研修も対象になりますか。

東京都の案内には、オンラインでの外部提供に関する明示的な記載を確認できませんでした。実施形態の可否は募集要項および東京都への確認によります。研修会社に見積りを依頼する前に、この点を東京都に確認しておくことをお勧めします。

従業員1名でも申請できますか。

対象となる従業員の要件は在留資格と勤務地について定められていますが、人数の下限は本記事の確認範囲では確認できませんでした。募集要項をご確認ください。

研修会社に何を確認しておけばよいですか。

講師が制度の定める日本語教員の要件を満たすか、受講日・受講時間・受講者名がわかる記録を発行できるか、請求書の記載内容を申請要件に合わせられるか。この3点です。

申請が間に合わない場合はどうなりますか。

令和8年度の申請期間は令和9年1月14日までです。次年度も同様の制度が実施されるかどうかは、東京都の発表によります。制度の継続は保証されていません。

助成金の活用もあわせてご相談ください

対象になりうる制度と、申請に必要な記録についてご説明します。研修の導入時期は、申請期間と交付決定のタイミングから逆算して決めたほうが確実です。

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