外国人労働者就労環境整備助成コースは日本語研修に使えるか——対象の措置と人材開発支援助成金との違い
厚生労働省が外国人労働者就労環境整備助成コースの措置として示している項目に、日本語研修は入っていません。このコースが求めているのは雇用労務責任者の選任と就業規則・社内マニュアル等の多言語化で、一時帰国のための休暇制度の整備は上乗せ措置です。日本語研修を職務に関連した訓練として計画するなら人材開発支援助成金の話になり、対象になるかどうかは訓練計画を出す前に管轄の労働局に確認します。
執筆:United World Nihongo 編集部/公開日:2026年10月15日/出典:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)|厚生労働省、人材開発支援助成金|厚生労働省/確認日:2026年10月15日
このコースは何に対して支給されるのか
厚生労働省は、このコースの目的を次のように説明しています。
この助成金は、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成するものです。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)|厚生労働省
受給要件となる措置は次のとおりです。名称は令和8年10月1日の支給要領改正後のものです。
| 措置 | 位置づけ |
|---|---|
| 雇用労務責任者の選任 | 受給要件 |
| 就業規則・社内マニュアル等の多言語化 | 受給要件 |
| 一時帰国のための休暇制度の整備 | 上乗せ措置 |
支給額は、受給要件をすべて満たした場合に20万円、上乗せ措置も実施した場合に25万円です。あわせて、就労環境整備計画期間の終了から6か月が経過した時点で、外国人労働者の離職率が15%以下であることも要件になっています。
支給額は「要件を満たした場合」の金額として示されている
厚生労働省のページでは、支給額は「受給要件をすべて満たした場合」の金額として示されています。どの支出が要件の確認にどう関わるかは、最新の支給要領を読み、管轄の労働局に確認してください。
日本語研修はどこに位置づくのか
措置の一覧に日本語研修はない
厚生労働省が示す措置は、責任者を置くこと、規則やマニュアルを外国人労働者が読める言語にすること、一時帰国のための休暇制度を作ることです。いずれも会社の側が外国人労働者に合わせて就労環境を整える措置で、外国人労働者の日本語力を高める研修は一覧に挙げられていません。
日本語研修の費用をこのコースで賄えないかと検討している場合は、自社の計画がどの措置にあたるのかを先に整理し、一覧にない取り組みの扱いを管轄の労働局に確認してください。
面談の要件と、職場で使う言語
改正により、雇用労務責任者が外国人労働者と3か月ごとに1回以上面談することが要件になりました。この期間には離職率算定期間も含まれます。面談をどの言語で行うかについて、厚生労働省のページから確認できる記述はありません。通訳を介すのか、日本語で話すのかは企業が決めることで、外国籍社員の日本語力はその判断材料の一つになります。
令和8年10月1日の支給要領改正で変わったこと
このコースの支給要領は令和8年10月1日に一部改正されました。厚生労働省が示している改正内容は次のとおりです。
| 改正の項目 | 改正後の扱い |
|---|---|
| 苦情・相談体制の整備 | 措置としては廃止。雇用労務責任者による苦情・相談対応が要件になった |
| 雇用労務責任者による面談 | 離職率算定期間を含め、3か月ごとに1回以上の実施が要件になった |
| 外国人労働者雇用労務責任者講習 | 受講が要件になった |
| 多言語化の措置 | 「就業規則等の多言語化」と「社内マニュアル・標識類等の多言語化」が「就業規則・社内マニュアル等の多言語化」に統合された |
「苦情・相談体制の整備」を廃止し、雇用労務責任者による苦情・相談対応を要件とする
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)|厚生労働省
改正前の情報で書かれた解説記事では、苦情・相談体制の整備が選べる措置として残っていることがあります。参照する記事の更新日と、令和8年10月1日という改正日を照らし合わせてください。
申請の提出方法
改正後の支給要領に基づいて申請する場合、提出は雇用関係助成金ポータル(電子申請)ではなく、管轄の労働局への持参または郵送です。
人材開発支援助成金との違い
日本語研修を「訓練」として計画する場合に関わるのは、人材開発支援助成金です。厚生労働省はこの制度を次のように説明しています。
人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です
人材開発支援助成金|厚生労働省
| 観点 | 外国人労働者就労環境整備助成コース | 人材開発支援助成金(人材育成支援コース) |
|---|---|---|
| 目的 | 外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備と職場定着 | 雇用する被保険者に職務に関連した知識・技能を習得させる訓練 |
| 支給の示され方 | 受給要件をすべて満たした場合に20万円(上乗せ措置の実施で25万円) | 訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成 |
| 日本語研修との関係 | 措置の一覧に日本語研修はない | 職務に関連した訓練にあたるかを労働局に確認する |
日本語研修を訓練として計画するときに整理すること
- 研修の内容が、対象者の職務とどう関連するのかを説明できるか
- 対象者が、自社が雇用する被保険者か
- 研修を計画に沿って実施できる体制があるか
人材開発支援助成金の具体的な要件・支給額・申請期限はこの記事では扱いません。最新の支給要領と管轄の労働局で確認してください。制度の適用や就業規則の変更が法的にどう評価されるかの判断は、弁護士の領分です。
United World は法人向けに日本語研修を提供していますが、当社の研修がいずれかの助成金の対象になると表明するものではありません。
よくある質問
外国人労働者就労環境整備助成コースで日本語研修の受講料は助成されますか。
厚生労働省が示すこのコースの措置は、雇用労務責任者の選任、就業規則・社内マニュアル等の多言語化、上乗せ措置としての一時帰国のための休暇制度の整備で、日本語研修はその中に挙げられていません。個別の扱いは管轄の労働局に確認してください。
外国人労働者就労環境整備助成コースの支給額はいくらですか。
厚生労働省によると、外国人労働者就労環境整備助成コースは受給要件をすべて満たした場合に20万円、上乗せ措置である一時帰国のための休暇制度の整備も実施した場合に25万円が支給されます。
令和8年10月1日の改正で何が変わりましたか。
外国人労働者就労環境整備助成コースの支給要領が改正され、苦情・相談体制の整備の措置が廃止されて、雇用労務責任者による苦情・相談対応が要件になりました。3か月ごとに1回以上の面談と、外国人労働者雇用労務責任者講習の受講も要件になっています。
離職率の要件はどう定められていますか。
外国人労働者就労環境整備助成コースでは、就労環境整備計画期間の終了から6か月が経過した時点で、外国人労働者の離職率が15%以下であることが受給要件の一つとして定められています。
日本語研修を助成金の対象にしたい場合はどの制度を確認しますか。
人材開発支援助成金は、職務に関連した知識・技能を習得させる職業訓練等を計画に沿って実施した事業主に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。日本語研修が対象になるかは、訓練計画を出す前に管轄の労働局に確認してください。
改正後の支給要領で申請するときは電子申請を使えますか。
厚生労働省によると、外国人労働者就労環境整備助成コースを改正後の支給要領に基づいて申請する場合は、雇用関係助成金ポータルの電子申請ではなく、管轄の労働局への持参または郵送で提出します。