特定技能1号の義務的支援「日本語学習の機会の提供」で受入企業がすること

特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、「本邦での生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること」を1号特定技能外国人支援計画に入れて実施します。出入国在留管理庁が挙げる例は、日本語教室等の入学案内と日本語学習教材の情報提供です。受入企業がすることは、何をいつ誰が行うかを支援計画に具体的に書き、実施した内容を文書に残して特定技能雇用契約の終了の日から1年以上保管し、2026年4月以降は年1回の定期届出で支援の実施状況を届け出ることです。

執筆:United World Nihongo 編集部 / 公開日:2026年9月25日 / 出典:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(e-Gov法令検索)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年5月20日更新)「特定技能制度に関するQ&A」 / 確認日:2026年9月1日

この記事は、特定技能1号の外国人を雇用する企業の人事・総務担当者に向けて、義務的支援のうち「日本語学習の機会の提供」を実務の流れに沿って整理します。支援計画への書き方、実施記録、定期面談、定期届出、登録支援機関への委託の順です。支援の具体的な実施方法の詳細は、出入国在留管理庁が公表している運用要領で確認してください。

省令と出入国在留管理庁が定めていること

根拠は法務省令です。省令は、1号特定技能外国人支援計画に入れる支援の一つとして、日本での生活に必要な日本語を学ぶ機会の提供を定めています(第三条第一項第一号ヘ)。

本邦での生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること。

特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令 第三条第一項第一号ヘ

出入国在留管理庁は、この義務的支援の例として、日本語教室等の入学案内と日本語学習教材の情報提供を挙げています。

日本語学習の機会の提供 日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等

出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」

日本語ができる社員にも支援が求められる理由

入国時に一定の日本語能力がある外国人にも日本語習得の支援が必要な理由について、出入国在留管理庁は次のように説明しています。

本邦に在留する外国人にとって、日本語を習得することは、日本社会の一員として円滑に在留するために重要です。

出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」

費用は受入れ機関が負担する

出入国在留管理庁のQ&Aは、受入れ機関が実施しなければならない支援の費用は受入れ機関が負担するとし、省令が定める義務的な支援にかかった費用を外国人本人に負担させることは認められないとしています。個々の費用、たとえば教室の受講料が義務的支援の費用に当たるかどうかの線引きは、この記事の出典では確認していません。受入れを管轄する地方出入国在留管理局に確認してください。

支援計画にどう書くか

支援計画には、支援責任者の氏名・役職、登録支援機関に委託する場合はその登録支援機関、そして義務的支援10項目を書きます。日本語学習の機会の提供はこの10項目の一つです。

支援計画は、日本語と、外国人本人が十分に理解できる言語の両方で作成し、写しを本人に渡さなければなりません(省令第三条第二項)。作成と交付を行うのは特定技能所属機関、つまり受入企業です。支援計画は在留申請のときに提出し、内容が変わったら届出が必要になります。

「機会の提供」を具体的な行動に置き換える

計画の記載が「日本語学習の機会を提供する」だけだと、後で何を実施すれば計画どおりだったのかを示せません。次の4点を先に決めてから書くと、計画・記録・届出が同じ言葉で対応します。

決めておくこと例記録に残すもの
何を提供するか通える日本語教室の入学案内、日本語学習教材の情報提供案内した教室名・教材名
いつ行うか入社時など、自社で決めた時期実施日
誰が行うか支援責任者・支援担当者、委託する場合は登録支援機関実施者の氏名
本人にどう伝えるか本人が十分に理解できる言語で説明する使った言語と資料

計画の内容を変えた場合は届出が必要になるため、実施できる内容だけを書いてください。支援計画の様式と記入欄は、出入国在留管理庁が公表している様式で確認してください。

実施したことをどう記録し、どう示すか

文書に残して保管する

省令は、支援の状況を文書に残し、支援を行う事業所に、特定技能雇用契約の終了日から1年以上保管することを定めています(第二条第二項第三号)。

一号特定技能外国人支援の状況に係る文書を作成し、当該一号特定技能外国人支援を行う事業所に特定技能雇用契約の終了の日から一年以上備えて置くこととしていること。

特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令 第二条第二項第三号

日本語学習の機会の提供については、実施日、実施者、案内した教室や教材の名称、説明に使った言語、本人の希望や質問を1件ごとに残しておくと、支援計画に書いた内容と照らし合わせられます。

定期面談で学習の状況を確認する

省令は、支援責任者または支援担当者が、外国人本人とその上司の立場にある人の両方と定期的に面談することを定めています(第三条第一項第一号ヌ)。出入国在留管理庁は、その頻度を3か月に1回以上と示しています。

面談の記録に、案内した教室に通えているか、教材を使えているか、学習で困っていることは何かを一項目として入れておくと、日本語学習の機会の提供を実施した記録と、その後の本人の状況が同じ文書にまとまります。

定期届出で支援実施状況を届け出る

受入企業は、年1回、特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況について届け出るほか、届け出るべき事由が起きたときにもその都度届け出ます。定期届出を出すのは特定技能所属機関(受入企業)です。

項目内容
四半期ごとの提出2025年4月15日までに提出する分で終了
現在の頻度2026年4月以降、年1回
対象期間4月1日から翌年3月31日まで
提出期限翌年5月31日まで(土日祝日にあたる場合は翌開庁日)
届出者特定技能所属機関

対象期間の途中で記録を集め始めると、届出の時期に実施日や実施者が分からなくなります。上に挙げた実施記録と面談記録を、対象期間ごとにまとめて保管しておいてください。

登録支援機関に委託したとき、受入企業に残るもの

支援は受入企業が自社で行うほか、登録支援機関に委託することもできます。委託は支援計画の全部でも一部でもよく、全部を委託すると、受入企業は支援体制の基準を満たしたものとみなされます。登録支援機関は、委託された支援業務をさらに別の機関へ委託できません。

委託しても、この記事の出典で確認できる範囲では、次のことは受入企業に関わります。

  • 支援計画は特定技能所属機関が作成し、本人に写しを渡す(省令第三条第二項)。
  • 年1回の定期届出の届出者は特定技能所属機関である。
  • 省令が定める義務的な支援の費用を外国人本人に負担させることは認められない。

委託契約で決めておくこと

日本語学習の機会の提供を委託する場合は、実施記録を誰がどの形式で作り、いつ受入企業に渡すかを契約時に決めておいてください。定期面談の記録の共有方法も同じです。委託先は支援業務を再委託できないため、実際に案内や説明を行うのが誰かも確認しておきます。受入企業にどこまでの責任が残るかの個別の判断は、地方出入国在留管理局、または弁護士・行政書士に確認してください。

この記事で確認できなかったこと

次の点は、この記事の出典では確認していません。運用要領と、受入れを管轄する地方出入国在留管理局で確認してください。

  • 任意的支援を支援計画に書いた場合の実施の扱い
  • 教室の受講料など、個々の費用が義務的支援の費用に当たるかどうか
  • 支援計画の様式への具体的な記入例

United World Nihongo の立場

United World は認定日本語教育機関ではありません。当社の法人日本語研修を利用したことをもって、特定技能や育成就労の制度上の要件を満たすとは説明していません。支援計画に何を書き、どう実施・記録・届出するかは受入企業が決めることです。育成就労制度の日本語に関する義務は、育成就労のガイドで企業向けに整理しています。社内の日本語学習を研修として整えたい場合は、法人向けのご相談をご利用ください。法律上の判断は弁護士の領分です。

よくある質問

日本語学習の機会の提供は、任意ではなく義務ですか。

義務的支援です。省令は、1号特定技能外国人支援計画に入れる支援の一つとして「本邦での生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること」を定めており、出入国在留管理庁も義務的支援の一つとして挙げています。

入社時に日本語ができる社員にも、この支援は必要ですか。

出入国在留管理庁は、入国時に一定の日本語能力がある外国人にも日本語習得の支援が必要な理由として、日本語の習得が日本社会の一員として円滑に在留するために重要だと説明しています。

支援にかかった費用を本人の給与から差し引けますか。

出入国在留管理庁のQ&Aは、省令が定める義務的な支援にかかった費用を外国人本人に負担させることは認められないとしています。受入れ機関が実施しなければならない支援の費用は、受入れ機関が負担します。

日本語学習の支援の記録はいつまで保管しますか。

省令は、支援の状況に係る文書を作成し、支援を行う事業所に特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くことを定めています。日本語学習の機会の提供の実施記録もこの文書として管理してください。

登録支援機関に全部委託すれば、会社は何もしなくてよいですか。

全部委託すると受入れ機関は支援体制の基準を満たしたものとみなされますが、年1回の定期届出の届出者は特定技能所属機関です。委託先が作る実施記録をいつ受け取るかを、委託契約の時点で決めておいてください。

特定技能の定期届出はいつ提出しますか。

定期届出は2026年4月以降、年1回になりました。対象期間は4月1日から翌年3月31日までで、特定技能所属機関が翌年5月31日まで(土日祝日の場合は翌開庁日)に提出します。

日本語学習の支援を、社内の仕組みとして整えたい企業へ

支援計画に書いた日本語学習の機会を、社内でどう実施し記録するか。外国籍社員向けの法人日本語研修の設計について、人事・経営のご担当者からのご相談を受け付けています。制度上の要件の判断は、出入国在留管理庁や専門家にご確認ください。

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