入管庁「日本語教育機関の講習提供状況一覧表」の読み方——育成就労の日本語講習を依頼する前に企業が確認すること

出入国在留管理庁の講習提供状況一覧表は、育成就労の日本語講習を頼める日本語教育機関を受入れ企業が探すための「参考情報」です。令和8年6月時点の調査結果として、Excelファイル3種類で掲載されています。3種類は、認定日本語教育機関の「就労のための課程」のみ、認定日本語教育機関、告示日本語教育機関に分かれています。一覧に載っていても、個々の講習が要件を満たすことの保証にはなりません。依頼する講習が要件に合うかどうかは、監理支援機関または出入国在留管理庁に確認します。

執筆:United World Nihongo 編集部/公開日:2026年10月6日/出典:出入国在留管理庁「日本語教育機関の講習提供状況一覧表(令和8年6月時点)について」、同「育成就労制度Q&A」/確認日:2026年9月1日

一覧表の位置付け:「参考情報」であること

出入国在留管理庁は、育成就労制度で日本語講習を提供できるかどうかについて日本語教育機関に調査し、その結果を一覧表として掲載しています。掲載の目的は、ページ上で次のように説明されています。

受入れ企業(育成就労実施者・監理支援機関)等の関係者が日本語講習を円滑に依頼できるよう参考情報として提供するものであり

出入国在留管理庁「日本語教育機関の講習提供状況一覧表(令和8年6月時点)について」

この一覧表は、依頼先を探すときの手がかりです。講習が制度の要件を満たしているかどうかを入管庁が認めた名簿ではありません。また、内容は令和8年6月時点のものです。依頼する時点で、その機関が講習を提供しているかどうかは、機関に直接確認します。

育成就労制度の運用は令和9年4月1日に始まります。一覧表は、運用が始まる前に企業が準備するための資料として公開されています。

3種類の一覧表の違い

Excelファイルの3種類は、機関が認定日本語教育機関かどうか、また「就労のための課程」を持っているかどうかで分かれています。

一覧表対象企業が読むときのポイント
調査結果一覧(認定日本語教育機関「就労のための課程」のみ)認定日本語教育機関のうち「就労のための課程」を置く機関入管庁のQ&Aが入国後講習とA2相当講習について書いている「就労」課程にあたるかどうかを確かめる入口です。
調査結果一覧(認定日本語教育機関)認定日本語教育機関認定を受けた機関でも、「就労のための課程」を持っているとは限りません。依頼する講習がどの課程のものかを機関に確認します。
調査結果一覧(告示日本語教育機関)告示日本語教育機関認定日本語教育機関ではありません。講習を依頼するなら、次の章で説明する経過措置の要件に合うかどうかを確認します。

各Excelの列の名前や記載の書き方は、入管庁のページからファイルを開いて確かめてください。この記事では、各列の意味を入管庁が説明した資料を確認できていません。そのため、列の意味を推測して書くことはしません。

入管庁が示している日本語講習の要件

一覧表を読む前に、どの講習を探すのかをはっきりさせておきます。入管庁の資料に書かれている要件は次のとおりです。

就労開始前のA1と、3年間でのA2目標講習

育成就労外国人は就労開始前までに、「日本語教育の参照枠」A1相当の日本語能力の試験に合格するか、それに相当する日本語講習(A1相当講習)を受講するとともに、3年間の育成就労の終了までに、育成就労の目標となるA2相当の日本語能力に到達するための日本語講習(A2目標講習)を受講することとされています。

出入国在留管理庁「日本語教育機関の講習提供状況一覧表(令和8年6月時点)について」

入管庁の育成就労制度Q&Aでは、入国後講習について、認定日本語教育機関の「就労」課程でA1相当の講習を100時間以上受講すると定めています。また、育成就労実施者は、3年間のうちに「就労」課程のA2相当の講習を100時間以上受講する機会を提供する必要があります。

経過措置:「就労のための課程」でなくても認められる講習

育成就労法施行後5年間を目途とする当面の間の経過措置として、認定日本語教育機関による「就労のための課程」でなくとも、登録日本語教員による講習で、教師1人に対して生徒が20人以下であることなどの一定の要件を満たしたものでも認めることとしています。

出入国在留管理庁「日本語教育機関の講習提供状況一覧表(令和8年6月時点)について」

この経過措置があるため、認定日本語教育機関以外の日本語教育機関でも、そこに在籍する登録日本語教員が講習を提供できます。ここで挙げられている要件は「教師1人に対して生徒20人以下など」と書かれています。挙げられたもの以外の要件もあるということです。すべての要件は、この記事で確認した資料だけでは分かりません。Q&Aに書かれている入国後講習の定めと経過措置が、具体的にどう組み合わさって適用されるのかも、出入国在留管理庁に確認してください。

オンラインでの受講

入管庁のQ&Aでは、日本語講習はオンラインでも受講できるとしています。ただし、双方向で同時にやり取りできることなど、一定の要件を満たす必要があります。一覧表の中にオンラインの記載があっても、それだけで要件を満たしているとは判断できません。授業の形式を機関に確認します。

依頼する前に企業が確認すること

一覧表で候補を見つけたら、次の順で確認します。

  1. 機関がどの一覧表に載っているか。「就労のための課程」のみの一覧か、認定日本語教育機関の一覧か、告示日本語教育機関の一覧かを確かめます。
  2. 依頼する講習が「就労」課程か、経過措置による講習か。経過措置の場合は、講習を担当するのが登録日本語教員かどうか、教師1人に対して生徒が20人以下かどうかなどを確かめます。
  3. A1相当講習か、A2目標講習か。就労開始前に必要な講習と、3年間で受講する講習とでは、探す講習が違います。
  4. オンラインの場合は授業の形式。双方向で、同時にやり取りできる授業かどうかを確かめます。
  5. 費用を誰が負担するか。入管庁のQ&Aでは、日本語能力を伸ばすための措置は、費用の負担も含めて育成就労実施者または監理支援機関が取ることとされています。社内で予算を確保するときの前提になります。
  6. 受講の記録をどう残すか。受講時間や修了の記録の様式、保存が必要かどうかは、この記事で確認した資料には書かれていません。監理支援機関または出入国在留管理庁に確認し、機関と取り決めをするときに、どの記録を受け取るかを決めておきます。

一覧に載っていることを「要件を満たす保証」と読まない

入管庁はこの一覧表を「参考情報」と位置付けています。一覧に機関の名前があることと、依頼したい講習が要件を満たすことは、別の問題です。要件に合うかどうかは、講習の課程、担当する教員、クラスの人数、授業の形式によって決まります。個々の講習ごとに確認してください。個別の事案が法的にどう判断されるかは、弁護士などの専門家に相談する事柄です。

United World Nihongo について

United World Nihongo は認定日本語教育機関ではありません。育成就労制度の日本語講習の要件を満たす講習を提供するものではありません。この記事は、制度上の義務を企業向けに説明するためのものです。

よくある質問

講習提供状況一覧表に載っている機関に頼めば、育成就労の要件は満たせますか。

一覧表は、出入国在留管理庁が受入れ企業向けに出している「参考情報」です。載っていても要件を満たす保証にはなりません。講習ごとに課程や担当教員などを確かめ、監理支援機関または出入国在留管理庁に確認します。

3種類の一覧表は何が違いますか。

3種類は、認定日本語教育機関の「就労のための課程」のみの一覧、認定日本語教育機関の一覧、告示日本語教育機関の一覧です。機関が認定を受けているかどうかと、「就労のための課程」を持っているかどうかで分かれています。

告示日本語教育機関に日本語講習を頼むことはできますか。

入管庁は経過措置として、認定日本語教育機関以外の日本語教育機関でも、そこに在籍する登録日本語教員が講習を提供できるとしています。教師1人に対して生徒20人以下などの要件があり、合うかどうかは講習ごとに確認します。

育成就労の日本語講習はオンラインで受けられますか。

入管庁の育成就労制度Q&Aでは、オンラインでの受講もできるとしています。ただし、双方向で同時にやり取りできることなど、一定の要件を満たす必要があります。授業の形式は依頼する前に機関に確認します。

日本語講習の費用は誰が負担しますか。

入管庁の育成就労制度Q&Aでは、日本語能力を伸ばすための措置は、費用の負担も含めて、育成就労実施者または監理支援機関が取ることとされています。外国人本人に負担させる前提で計画を立てないようにします。

法定の講習とは別に、職場の日本語研修を相談する

United World Nihongo は認定日本語教育機関ではなく、育成就労の日本語講習の代わりにはなりません。法定の講習とは別に、職場で使う日本語の研修を検討している企業からのご相談を受け付けています。

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